福島県郡山市にある磐梯熱海温泉(ばんだいあたみおんせん)を訪問した。宿泊はしていないが、過去に2回訪問し、日帰り温泉を楽しんでいる。『温泉プチホテル 湯kori』と『萩姫の湯 栄楽館』を日帰り利用したので、その体験を記す。
なお、同じ福島県にある東山温泉(ひがしやまおんせん)と飯坂温泉(いいざかおんせん)も訪問しており、訪問記事はこちらから。
2つの温泉宿を日帰り温泉利用 #
磐梯熱海温泉をリピートしてしまう理由は、その圧倒的な泉質にある。pH 9を超えたアルカリ性単純泉であり、入浴すると驚くほど肌がすべすべになる。また、後述するが、温泉宿が遅くまで日帰り客を受け入れてくれるところも良い点である。
『温泉プチホテル 湯kori』 #
『温泉プチホテル 湯kori』は、モダンでこじんまりとした浴槽ながら、源泉掛け流しの質にこだわった名湯だ。壁に掛けられたタイル絵を眺めながら、pH 9.3という高いアルカリ性を誇る単純温泉に身を沈める。その湯は驚くほど柔らかく、浸かった瞬間に肌が溶けるようなすべすべ感に包まれる。
温度も非常に適温であり、身体に無理な負担がかからない。一度浸かっては休み、また浸かる。この「休み休み入る」という贅沢な時間が、心身の凝りを解きほぐしていく。
高級旅館『萩姫の湯 栄楽館』 #

また、別の機会に訪れた『萩姫の湯 栄楽館』は、打って変わって高級旅館らしい格式を感じさせる佇まいだった。しかし、大型の高級旅館にありがちな、施設は立派だがお湯の印象が薄いということは、ここ磐梯熱海においては当てはまらない。栄楽館の湯もまた、湯koriで感じたあの極上のぬめり感と鮮度をしっかりと保っており、改めてこの地のポテンシャルの高さを痛感させられた。
『霊泉 元湯』 #

私はまだ訪問していないが、元湯も紹介しておく。建物の外観はかなり老朽化しているが、上記写真が元湯である。
温泉マニアを悩ませる「宿の門限」を打ち破る地 #
福島の名湯を巡る旅において、磐梯熱海温泉は私にとって機会があれば訪れる、身近な温泉地となっている。郡山駅から磐越西線でわずか15分という至近距離もさることながら、この地を何度も訪れる最大の理由は、温泉地としての「日帰り客に対する懐の深さ」にある。
多くの温泉地、特に旅館を主体とする場所では、日帰り入浴の時間は15時前後に終了することが多い。これは宿泊客がチェックインを開始する時間帯であり、宿側が宿泊者の快適性を優先し、混雑を避けるための処置である。一人の宿泊客が落とす金額を考えれば仕方のないことだが、一日に複数の温泉地をハシゴする温泉マニアにとって、この「15時の壁」は非常に不便な制約となる。
しかし、磐梯熱海はこの常識を心地よく裏切ってくれる。私が愛用する『温泉プチホテル 湯kori』は21時まで、そして高級旅館の風格を漂わせる『萩姫の湯 栄楽館』であっても18時まで日帰り入浴を受け入れている。この数時間の余裕が、旅のスケジュールに絶大な自由度をもたらしてくれるのだ。
総括:旅人に優しい「本物の温泉地」の姿 #
秋保の共同浴場で見られた排他的な空気や、松島の元湯で感じた消毒臭の物足りなさ。それらを経て辿り着いた磐梯熱海は、泉質の素晴らしさはもちろんのこと、日帰り客を夜まで受け入れるその姿勢そのものが、旅人に対する「優しさ」として映る。
宿泊客を優先するビジネスモデルを理解した上で、それでもなお遅い時間まで門戸を開き、極上のpH 9.3を惜しみなく提供してくれる宿。いつか共同浴場の『霊泉元湯』にも足を運びたいという願いを抱きつつ、私はこれからも、この「15時の壁」がない自由な温泉地に何度も足を運ぶことになるだろう。