和歌山県那智勝浦町にある南紀勝浦温泉は、ホテルや旅館だけでなく、日帰りで利用できる温泉施設も数多く存在する温泉地だ。
今回は、その中から『四季の郷温泉』『玉乃湯』『ゆりの山温泉』の3施設を実際に訪問した。3施設を巡ってみて特に印象的だったのは、いずれも浴槽の数やサウナなどの設備を売りにするタイプではなく、温泉そのものを楽しめる施設が多いということである。
内湯が1つだけというシンプルな施設で、それぞれ泉質や湯の印象には違いがあり、温泉巡りの面白さを感じられる3施設だった。
南紀勝浦温泉の日帰り温泉3施設を比較 #
今回訪問した3施設を簡単に比較すると、次のようになる。
| 施設 | 泉質 | 料金 | 営業時間 | 浴場 |
|---|---|---|---|---|
| 四季の郷温泉 | アルカリ性単純温泉 | 500円 | 10:00~20:00 | 内湯1つ |
| 玉乃湯 | ナトリウム・カルシウム塩化物泉 | 500円 | 6:00~24:00 | 内湯1つ |
| ゆりの山温泉 | アルカリ性単純硫黄温泉 | 400円 | 9:00~22:00 | 内湯1つ |
3施設とも日帰り入浴料金は400~500円と安く、かなり利用しやすい。また、いずれも露天風呂やサウナなどの設備はなく、浴槽は内湯1つのみ。最近のスーパー銭湯のように、いろいろな風呂に入って一日過ごすというタイプではない。
その代わり、温泉に入るという目的に特化したシンプルな施設になっている。
源泉掛け流しを味わえる『四季の郷温泉』 #

四季の郷温泉は、アルカリ性単純温泉の源泉掛け流しを楽しめる温泉施設である。泉質はアルカリ性単純温泉で、源泉温度は38℃、湧出量は毎分154リットル。pHは9.5と高い数値になっている。
温泉の利用形態は加温あり・加水なし・循環濾過なし・入浴剤なし・消毒なし。加温こそされているものの、源泉の状態をかなり残した形で利用されている。飲泉も可能だ。
湯は無色透明で、入浴すると微かなとろみを感じる。さらに、ほんのりと硫黄の香りも感じられ、単純温泉ながら意外と個性がある。温度はややぬるめで、ゆっくり長湯するのにも向いている。
浴場は内湯1つだけで、露天風呂やサウナなどはない。しかし、設備の少なさを補って余りあるほど、温泉そのものを楽しめる施設である。入浴料も500円と良心的な価格である。
様々な浴槽を堪能したいという人よりも、良い源泉にじっくり入りたいという温泉好きに向いている。
詳細レビューについては、以下記事を参照のこと。
朝6時からの営業がありがたい『玉乃湯』 #

玉乃湯はホテルに併設された温泉施設である。今回訪問した3施設の中では、もっとも営業時間が長く、朝6時から深夜24時まで利用できるのが大きな特徴である。
朝早くから営業しているため、那智勝浦で宿泊した翌朝に朝風呂として利用したり、観光や移動の前に立ち寄ったりする使い方にも向いている。
泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉である。無色透明で匂いもほとんど感じないため、見た目や香りからは派手な温泉には感じない。しかし、実際に入浴してみると肌あたりがよく、適温の湯に浸かっているうちに身体の芯からじんわりと温まっていくような感覚があった。
浴槽は内湯1つのみで、露天風呂はない。土曜日の朝8時に訪問した際には、最初は独泉状態。その後2人ほど客が訪れたものの、混雑することはなく、落ち着いて入浴できた。
一方で、脱衣所はカゴのみで鍵付きロッカーがないため、貴重品の管理には注意したい。設備の豪華さよりも、静かに良い湯へ浸かりたい人に向いている温泉である。
詳細レビューについては、以下記事を参照のこと。
硫黄の香りと源泉の力を感じる『ゆりの山温泉』 #

ゆりの山温泉は、今回訪問した3施設の中では最も安く、入浴料は400円である。泉質はアルカリ性単純硫黄温泉で、源泉温度は37.9℃、湧出量は毎分120リットル、pHは9.7。かなり高いpHを持つ温泉だ。
湯は無色透明で、一見するとそれほど特徴が強いようには見えない。しかし、浴室にはほんのりと硫黄の香りが漂っている。
そして、特に印象的だったのが湯口である。源泉がゴボゴボと音を立てながら注がれており、静かに湯が流れ込む一般的な湯口とは違った迫力がある。
湯温はややぬるめ。ただし、入浴中の印象以上に湯上がり後はしっかりと身体が温まり、温泉としての力を感じられた。
また、ゆりの山温泉も飲泉が可能。さらに温泉スタンドも併設されており、約25リットルを100円ほどで販売していた。
なお、人気の高さも特徴的だった。営業開始は9時だが、8時30分に到着した時点ですでに先客の車があり、営業開始直前になると次々と車が到着。営業開始から10分ほどで浴室には8人ほどが集まった。
今回訪問した3施設の中では、地元での人気を特に強く感じた温泉だった。
詳細レビューについては、以下記事を参照のこと。
南紀勝浦温泉の魅力 #
今回3施設を巡ってみて感じたのは、南紀勝浦温泉の日帰り温泉は、スーパー銭湯とはかなり方向性が違うということである。
3施設とも浴槽は内湯1つだけ。露天風呂やサウナなどの設備を楽しむというより、それぞれの温泉の湯そのものを楽しむことに重点が置かれている。
そして、料金も400~500円と非常に安い。
四季の郷温泉はアルカリ性単純温泉で、微かなとろみと硫黄臭が特徴である。玉乃湯はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、派手な香りはないものの、肌あたりがよく身体がよく温まる。ゆりの山温泉はアルカリ性単純硫黄温泉で、硫黄の香りと勢いよく注がれる源泉が印象的だった。
同じ南紀勝浦温泉でも、入ってみるとそれぞれ違った個性がある。
まとめ #
南紀勝浦温泉の四季の郷温泉、玉乃湯、ゆりの山温泉の3施設を巡ってみたが、どの施設も共通していたのは、設備の充実よりも温泉そのものを楽しむことに重点を置いていることだった。
浴槽はどこも内湯1つだけで、露天風呂やサウナなどはない。その一方で、料金は400~500円と非常に安く、気軽に温泉巡りができる。
四季の郷温泉は源泉掛け流しと微かなとろみ・硫黄臭、玉乃湯は肌あたりの良い塩化物泉と早朝から利用できる便利さ、ゆりの山温泉は硫黄臭と勢いよく注がれる源泉が魅力だった。
設備の豪華さを求める人には物足りないかもしれない。しかし、温泉に入るなら、やっぱり湯を楽しみたいという人にとって、南紀勝浦温泉は非常に面白い温泉地だと思う。
那智勝浦を訪れる際には、観光だけでなく、こうした日帰り温泉をいくつか巡ってみるのもおすすめしたい。